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『えー‥χが2になる時αが~‥』
髪の薄い中年数学教師の眠気を誘う魔法の呪文に、クラスの大半は眠っていたり首をカクカクさせている。
5限目という時間は眠りを誘う。
香坂はシャーペンを動かしノートに教科書の数式を書いていた。
教師の話を聞くより確実に知識になるからだ。
隣の席の矢島は3限目からいない。
カリカリというペンの音。
スヤスヤという寝息。
彼女はフゥとため息をつき、外に目をむけた。
(ただ理論を並べているだけ‥つまらない。
そんな世の中を必死に生きて一体何になる?)
彼女は目を閉じ、時間が過ぎるのを待った。
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