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放課後になり家路につく者や寄り道する者などが次々と教室を出て行った。
香坂はトイレ掃除をしに行った。
ゴシゴシとブラシで床を磨き、後は水を流すだけ。
フゥと一息ついてホースを手にした時、背後から声がした。
『あれ?香坂さんじゃん』
とりあえず名前を呼ばれたので振り向くと、知らない男子生徒がいた。
『‥…?』
『今日の掃除て谷山じゃなかったっけ?俺、日直代わったからあいつ探してるんだよね』
『…用事で帰った』
『えー!』
会話からしてクラスメートだと理解した香坂は目の前にいる頬を膨らませた彼を横目に水をまいた。
『じゃあ香坂さんが日直と掃除代わったの?』
『うん』
水をまき終わり、ブラシやホースをしまった。
手を洗い廊下に出るまで男子生徒は入口で待っていた。
男子生徒は茶髪をワックスで跳ねさせ、緩くネクタイをしている今時のイケメンだ。
『お疲れ!今日さ河合も用事があるって言って、俺に日直押し付けたんだ。勘弁してよ~だよね』
『別に‥』
『香坂さんって心広すぎっしょ!!』
ケタケタ笑う彼を見て香坂は何が面白いのだろうと疑問をいだき首を傾げた。
2人は肩を並べて教室まで歩いた。
廊下にはもう生徒はいなかった。
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