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窓を閉め黒板を綺麗に消している男子生徒と、花瓶の水を変え日誌を書く香坂。
互いに黙々と仕事をし、互いの動作の音が教室に響いた。
カリカリ‥…
ペンを動かす香坂の前の席の椅子がガタンと動いた。
仕事を終えた男子生徒が座ったのだ。
『へ~香坂さんって字綺麗だね』
『別に…?』
『俺何か手伝える?』
『…‥?』
言っている意味が分からず香坂はパッと顔を上げた。
目の前にはキョトンとした顔の男子生徒。
『え?俺何か変な事言った?』
『え‥帰らない‥の?』
目をぱちぱちさせて男子生徒は驚いていた。
香坂も驚いている。
『なんで帰るの?まだ日誌あるじゃん』
『…私やるし』
へ?と間抜けな声を出した男子生徒は何故か少し考え始めた。
香坂は気にせず日誌をまた書き始めた。
『ちょっといい?』
有無を言う時間も与えられないまま香坂は突然、日誌を奪われた。
ア然とする彼女を無視して彼は日誌をぺらぺらめくって見ている。
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