達也と順とバスケット

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「あら?」 それはうららかな初夏の午前中。 「あの子ったら…お箸忘れてるじゃない。 いつもちゃんと確認しろってのに…もぅ」 「どうかした?」 「昊、お願いがあるんだけど このお箸、佳奈に届けてやってくれない?」 と聞きつつも母は手早く箸箱をハンカチで包むと、その両端を俺の首輪にくくりつけた。 「お願いね?お兄ちゃん」 その笑顔でそのセリフを言われると、もう逆らう気なんて起きません。 俺は我が家を後にして、佳奈の通う高校へと向かった。
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