達也と順とバスケット

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はぁ、はぁ、はぁ… あごで水滴となっていた汗を右手で乱暴に拭う。 あと一球。 これが入れば俺はきっとレギュラーになれる。 これが入らなければ、俺は…… 深呼吸をしてボールを構え、ゴールネットをにらむ。 集中、ゆっくり、優しくボールを… ぱすっ ボールはきれいに弧を描いて、吸い込まれるようにネットを揺らした。 「…入った…」 体育館の床の上に倒れるように大の字になって寝転がる。 そのほおに、 「冷たっ」 不意に冷たい物が触れた。 「ナイッシュ、です先輩」 「前田さん…」 見上げると、スポーツドリンクを持った前田さんと猫ちゃんがいた。
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