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沈黙は続く。
静寂。
呼吸音も。
衣擦れの音も。
当然、さっきまでの音も聞こえない。
ただ、時計の秒針だけが、規則正しいリズムを、僕たちに教えていた。
苦手だ、こんなの。
沈黙は、苦手。
自分からそれを破るのは、もっと苦手。
でも、何とかしなければ。
一度下を向き、瞬きを二回。
そのあとぎゅっと目を瞑る。
目を開けると飛び込んでくる、プリントの束。
まだ持ってた。
何か情けない様な間抜けな様な感じだ。それらは間近な机に置いて、眼鏡を一旦直す。
一連の流れのせいで、僕の周りだけ音が戻ってきた。
少しでいい、落ち着け。
心臓が余りにも速く自己主張するので、深呼吸を三度。
そして、僕は言葉を発する。
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