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光夜は窓から微かに入る、月の光りを頼りに辺りを見渡すが、人らしき影は見つからない。
──向こうには見えているのだろうか。
そんな事を考えると、恐怖は更に煽られ、光夜の身体を冷たくした。
「…泣いているのですね。」
どうやら声からすると、暗闇の住人は男のようだった。透き通った綺麗な声をしているが、腰に響く低い音色がそれを物語っている。
「…泣かないで下さい。貴方に泣かれると、困ってしまう。」
そう、男は告げると、ガサガサと音を立て、こちらに近付いてくるようだった。
(怖い…!)
「やっ…やだ!こっち来んな!!」
段々と近付いてくる気配を間近で感じ、光夜は壁際に縋り付く。それでも気配はどんどん近付き、光夜を容赦なく追い詰めてきていた。
「やっ…やだぁぁっ!!!」
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