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そう言って男は頭を抱える。その様子を、光夜はじぃっと見つめていた。
すると頭を抱えていた男は溜息を付き、光夜の頭を優しく撫で、優しそうな顔で微笑んだ。
「泣かないで下さい、と言った筈ですよ?」
光夜はハッとして、頬を確かめた。冷え切った頬は、涙の滴のせいで更に冷たさを求めている。
「な…んで…」
突然の出来事に、光夜はどうしたら良いか分からなかった。他人の前で泣いた事など無いのに、今日会ったばかりの、未だ名前も知らない男の前で泣くなんて。
泣き始めたらブレーキが効く事は無かった。今まで溜まりに溜まっていた感情が、滝のようにどんどんと出てくる。
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