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「…理不尽すぎる…。」
湊は苦虫を噛み潰したような表情になる。
何も言わずに湊に背を向ける和樹が
ひどく小さく見えた。
「…和樹…。克樹さんの事、見つけよう。絶対。」
「…人質の分際で…生意気だ。」
「だって僕、人質って扱いじゃないもん。」
「…お前って本当…。」
「何?」
「ムカつくガキだ。」
「あはっ。だって僕、なんか大事にされてるもん♪ちょっと口答えしても殴られたりしないし。」
「…そうか。つまり俺はお前になめられているんだな。今度からはちょっとでも口答えしたら痛め付けてやろう。」
「うっ…ご、ごめんなさい…。怒らないでよ…。」
ちょっとやりすぎたな、と思い身を縮こませる湊。チラリと横目で和樹を見ると
和樹は笑っていた。
声を上げずにクスクスと。
「…和樹って笑うんだね。笑うとさらに幼く見えるよ。」
「…いちいちうるさいぞ。」
「あ、無表情に戻っちゃった。」
湊が残念そうに言うと、湊に背を向けていた和樹が突然向き直り、湊を見た。
「なっ何だよ。」
「お前の親はどうしてる?」
「…親。……。」
「…湊?」
湊の顔からみるみる血の気が引いて、蒼白になっていく。
「…おい。大丈夫か!?」
「ー大丈夫…。」
いや、全然大丈夫そうじゃない。
「…何かあったのか?」
湊は弱々しく頷いた。
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