プロローグ

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ハアッ ハアッ 「ー…くそ!!」 何で こうなった? 俺は何故 追われている? しかも、よりによって 警察に。 「待てっ!止まれーっ!」 「チッ。何だってんだ!」 男は大通りから路地裏へと体の向きを変え、走った。 どこへ出るかはわからない。ただ、逃げるしかないのだ。 いや、俺は何もした覚えがない。何もしていないのだから逃げる必要もないのだ。 しかし、足が止まらない。 「ハアッ…ハッ…。」 後ろから追ってくる警察官の手には拳銃が握られている。 ー…あんなの洒落にならないぞ! ハアッ 「止まれーっ!その先は行き止まりだ!」 ハアッ 止まれと言われて止まるヤツがあるかっ!! ハアッ 無我夢中で走った。ただ、真っ直ぐ。出口を目指して。 「ッ!!」 男は足を止めた。 ー…行き止まり、だ。 「くそっ…!」 後ろには警官。前は壁。 左右も壁。 ー…畜生。 俺は 何もしてないんだ。 「手を挙げろ!」 後を追ってきた警察官数人も立ち止まり、俺に銃口を向けた。 ー…。 男は諦め、目を瞑り手を挙げた。 刹那 ギィイッ 「ー…こっち!!」 「!?」 行き止まりだったハズの目の前の壁が開き、そこから真っ白な細い腕が伸びた。 「ッなん…」 バタン!! そして男が言葉を発する間もなく 男は“壁の中に”吸い込まれていった。
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