少年と犯罪者

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「ゔっ…。」 じんわりとした鈍い痛みで目が覚めた。 おぼろげな意識の中で、ふと怪我をした肩を見る。その怪我とは、警察官の一人が威嚇で発砲した球が男に当たったものだった。 しかし男の左肩には包帯が何重にも巻かれ、手当てがしてある。 ……何故、怪我の手当てが? 「ッ!!」 そう思った瞬間、男は我に返り勢いよくベッドから起き上がった。 …ここはどこだ!? …俺は捕まったのか? 机の上にきちんとたたまれて置かれていた自分の衣服を手に取り、ポケットからサバイバルナイフを取り出した。 そしてジャケットの袖に腕を通す。 「痛っ…。」 チッ。傷が深い…。 利き腕じゃないのが幸いだな。 さて、どうやら俺はまだ捕まって居ないようだ。 男は辺りを見回す。 男が先ほどまで横たわっていた真っ白なベッドの枕元には何冊かの絵本があった。目の前には、黄色のカーテンがかかった窓。 フローリングの床に木製の机。脇には二人分の椅子。 何の変哲もない、部屋だ。 問題は“誰が”男を連れてきたか。 トントントントン… 「!」 足音だ。しかもこちらに向かってきている。 誰なのかは言うまでもない。 俺をここに連れてきたヤツに違いない。
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