お母さん失格

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目がさめると、僕の部屋だった。 キタロウとお化け屋敷で遊んでいるうちにキタロウがうとうとしだしたので一緒に添い寝していた所までは思い出したのだが、何故か家にいるのだ。 一人考えていると、お父さんが部屋に入ってきた。 「おっ、起きたか。浩樹今日終業式やろ?はよ準備せえよ」 お父さんは笑顔で言った。 「お父さん、なんで僕ここにおるん?」 僕は素直に聞いた。 「お父さんが連れて帰ったんや」 「キタロウは?」 「あ~あの子猫かわいいなあ。けど置いてきたわ。心配せんでも空き家におるやろ。ほら、はよ準備せえ、遅刻するぞ!」 「うん…」 僕は時計を見た。もう7時半を過ぎていた。 僕は慌てて学校へ向かった。 校長先生のやたら長い話の時も、ホームルーム中も僕はずっと上の空だった。 そして学校が終わると一目散に家に帰った。 そして、すぐに出ていこうとするとお父さんに呼び止められた。 「なに、お父さん?僕はよ行きたいんやけど」 するとお父さんはニコニコしながら僕にナイロン袋を 渡した。 「お母さんには内緒やで」お父さんは小声で言った 僕は袋を覗き込んだ。なんと中には子猫用のキャットフードが入っていた。 僕は笑顔でお父さんを見た。するとお父さんは目配せで早く行ってこいと言った。 僕は走って向かった。お父さんの優しさが嬉しかった。 お化け屋敷に着くと、キタロウが嬉しそうに駆け寄ってきた。 「よしよし、キタロウ。今日からこれがキタロウのごはんやで」 僕は紙パックで作ったお皿にキャットフードを入れた。 キタロウは初めて見る物に少々驚いたようだが、臭いをかぎ食べ物だと認識すると勢いよく食べだした。 「おっ、食べた食べた。」 僕はキタロウがごはんを食べてるのを見るのも好きだった。 キタロウが食べているのを見ていると、僕もお腹が空いてきた。そういえばまだお昼ご飯を食べていなかった。 僕は一旦家に帰る事にした。 「キタロウ、ちょっと待っとってな。」 キタロウは食べるのに必死で僕の方を見向きもしなかった。
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