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家に帰ると、昼ご飯がすでに用意されていた。
僕は早くキタロウと遊びたかったので急いで食べていた。すると
「浩樹、おじいちゃんが浩樹に会いたいって言ってるから明日おじいちゃんの家に行こな」
と、お母さんが優しく笑いながら言った。
「え~っ、僕ええわ~。」
「なんで、いつもは行きたいって言うくせに…あの子猫の所行きたいだけやろ?あかんってゆうとるやろ!だいたい…」
「まあまあお母さん、そんなに怒らんと…けど浩樹、明日はおじいちゃん家行くからな。おじいちゃんさみしがるからな。わかったか?」
お父さんがお母さんをたしなめて優しく僕に言った。
「う…うん」
実際、僕はおじいちゃんの家に行くのは好きだった。
次の日、僕は朝早くにお化け屋敷に向かった。
お化け屋敷に着くと、まだ寝ているのかキタロウは出て来なかった。
「キタロウ、今日は来れないからごはんだけ入れとくでな。」
返事はなかったが、僕はお皿にたっぷりキャットフードを入れた。
そして、お父さんの運転する車で隣町のおじいちゃんの家に向かった。
家に着くと、おじいちゃんが満面の笑顔で出迎えてくれた。
「おお、いらっしゃい。浩樹、大きくなったなあ。」
「おじゃまします。おじいちゃん」
僕も笑顔で答えた。
その後おじいちゃんといろいろ話した。
もちろんキタロウの話もした。
「お母さんがあかんって言うんや。あんなにかわいいのに…」
僕はぷくーっとふくれながら言った。
「だから一人で育てようとしてるんか~。浩樹はエライなぁ。けどお母さんの気持ちもわしはわかるなぁ。お母さんはそのお化け屋敷で育てるのもあかんって言ってるやろ?」おじいちゃんは優しい笑顔で言った。
「うん…でもなんで?家で飼うのがあかんのやったらお化け屋敷で育てるしかないやん」
「ええか、浩樹。子猫を育てるって事は一つの命をあずかるって事なんや。
一つの命をあずかるという事はその命に責任を持つって事なんや。それは簡単な事じゃないんやで。…浩樹にはまだ難しいかな?」
「う~ん、難しくてわからへん。」
僕は首をかしげながら答えた。
「もう少し大きくなったらわかるわ」
おじいちゃんの顔は優しかった。
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