お母さん失格

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その後、すっかり日も暮れて家に帰る事になった。 おじいちゃんとお別れの挨拶をして、僕らは車に乗り込んだ。 帰ってからすぐにキタロウの所に行こうと思っていたのだが、今朝早く起きたせいか、帰ってすぐ僕は寝てしまった。 次の日、僕は朝に夏休みの宿題をして、昼からは学校のプールに行った。 その後急いでお化け屋敷に向かった。 「キタロウ!」 お化け屋敷に着くなり僕はキタロウを呼んだ。 しかし、返事がなかった。 「寝てるのかな?」 僕はキタロウの寝床をのぞこうとして、ある物に目がいった。 「えっ…全然減ってない。」 昨日の朝に入れたごはんがほとんど減っていなかったのだ。 僕は不思議に思いながら寝床を覗き込んだ。 キタロウは起きていた。しかし、うずくまったまま動こうとしなかった。 「キタロウ、どうしたん?もうあきた?キャットフード。しゃあないなあ…」僕はポケットに忍ばせていたソーセージを取り出してキタロウの目の前においた。 しかし、キタロウは全然食べようとしなかった。 「どうしたん?ソーセージ好きやろ?」 僕はせっかく僕自身が好きなソーセージをあげたのに食べないキタロウに少し不満をおぼえた。 「なんで食べへんの!大きくなれへんで!」 僕はお母さんになったつもりでキタロウに説教をした。 しかし、キタロウはうずくまったままだった。 「もう知らんで。僕はお腹空いたから帰るからな。」 僕はむすっとしながら帰った。帰る前に一応ごはんを新しいのに入れ替えておいた。 家に帰ってご飯を食べていると、お母さんが不思議そうな顔をして聞いてきた。 「浩樹?誰かと喧嘩でもした?」 「別に、なんもないで!ごちそうさま!」 僕はむすっとしながら答えお茶碗を掻き込むと、乱暴に箸を置いて部屋に上がった。 「なんや、まったく…」 お母さんが呆れ顔でつぶやいた。 次の日。僕はほっとこうと思っていたが、やはり気になったので様子を見に行く事にした。 お化け屋敷に着き、お皿を見るとまた減ってなかった。 さすがに心配になり寝床を覗き込んだ。 すると、キタロウはまたうずくまったまま動かなかった…。
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