捜索【卓磨宏和】

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 まずは二匹、廊下でウロウロしていたのを見つけたが、探している猫とは全く違っていた。写真に写っている猫は、背中に黒い斑が一つあり、右耳の先だけが灰色がかっている雑種だ。廊下の猫も雑種のようだが、灰色と茶色で一目見て違うと分かる。  とりあえず、台所から探してみる事にした。一人暮らしには大きいが、それ程不便ではない程度の、広さ。ガスコンロまで綺麗に掃除されている。結構大きい冷蔵庫が有ったが、流石に、冷蔵庫の中にはいないだろう。私は、コンロのしたの棚や引き出しを開けて、中に何も居ない事を確認した。一応鍋の中も開けてみたが、やはり一匹も居ない。何となく、猫鍋を思い出して笑った。  台所を出たところで、先程の二匹とは別の猫に遭遇した。だが、この猫も探している猫とは違う。触ろうとしたところで、逃げられた。少し悲しみながら、次の部屋へ。先程貰った家の地図によると、どうやら客室らしい。去年私が住んでいたアパートの部屋と、丁度同じくらいの部屋だ。押入れが少し開いていた。開けてみると、一匹だけ、仔猫が眠っていた。写真を撮りたくなる衝動に駆られたが、止めておいた。というより、カメラも携帯も持っていなかったので、撮れなかったというのが正しい。今日に限って家に忘れてきたのだ。物凄く、後悔した。他に調べる所も無かったので、押入れを元のように戻して、隣の部屋に行く。隣の部屋も、同じく客室だ。間取りも同じ。ただ一つ違うのは、押入れに猫が居なかった事だけ。残念だった。
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