依頼【柳先生】

2/6
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「『何でも屋』ですか……」 「そう。普段はバイトでお金を稼いで、頼まれた時には人のために働く。それが、今の僕の仕事だよ」  ……要するに、フリーターだ。柳先生の口振りだと、バイトの方がメインの収入源のように聞こえる。少なくとも、定職にはついていないらしい。 「それで、わざわざ手前で地下鉄を降りたんですか? 次で降りればJRに乗り換え出来るのに」 「んー、まあね。ちょうど今から行く現場がね、駅と駅の中間くらいなんだ。それなら、こっちで降りた方が早いでしょ」 「まあ、それはそうですけど。……どうして私まで降りなきゃいけなかったんですか?」  私は先程、柳先生に引きずられるように電車を降ろされたのだ。定期を持っているから途中下車しても問題は無かったとは言え、何の説明も無しに、というのは甚だ迷惑な話である。 「まあ、なんていうか、一人じゃ心細いから付いてきてくれ、って言えばいいのかな? 分かりやすく言うと」 「分かりにくいですが、……要するに、仕事を手伝え、と?」 「そういう事」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!