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「『何でも屋』ですか……」
「そう。普段はバイトでお金を稼いで、頼まれた時には人のために働く。それが、今の僕の仕事だよ」
……要するに、フリーターだ。柳先生の口振りだと、バイトの方がメインの収入源のように聞こえる。少なくとも、定職にはついていないらしい。
「それで、わざわざ手前で地下鉄を降りたんですか? 次で降りればJRに乗り換え出来るのに」
「んー、まあね。ちょうど今から行く現場がね、駅と駅の中間くらいなんだ。それなら、こっちで降りた方が早いでしょ」
「まあ、それはそうですけど。……どうして私まで降りなきゃいけなかったんですか?」
私は先程、柳先生に引きずられるように電車を降ろされたのだ。定期を持っているから途中下車しても問題は無かったとは言え、何の説明も無しに、というのは甚だ迷惑な話である。
「まあ、なんていうか、一人じゃ心細いから付いてきてくれ、って言えばいいのかな? 分かりやすく言うと」
「分かりにくいですが、……要するに、仕事を手伝え、と?」
「そういう事」
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