62人が本棚に入れています
本棚に追加
ウタがお帰りなさいとでも言うように、シキの前にジュースを出してニコッと笑った。
机に置かれたジュースにありがとうと言って手をつける。
何も言えないウタ。
なぜ声が出なくなったのかはまだ聞いていない。
だがそれは聞いてはいけない気がした。
ウタは話す代わりに、小さなメモ帳とペンを持ち歩いて、紙に言葉を書いて会話する。
しかしシキはまだウタが紙に書くほどの会話をしたことがない。
お菓子は食後にと収められ、今度は詩織一人で夕食を作る。
その間シキとウタは何も喋らず、ソファに座ってテレビを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!