少女との時間

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ウタがお帰りなさいとでも言うように、シキの前にジュースを出してニコッと笑った。 机に置かれたジュースにありがとうと言って手をつける。 何も言えないウタ。 なぜ声が出なくなったのかはまだ聞いていない。 だがそれは聞いてはいけない気がした。 ウタは話す代わりに、小さなメモ帳とペンを持ち歩いて、紙に言葉を書いて会話する。 しかしシキはまだウタが紙に書くほどの会話をしたことがない。 お菓子は食後にと収められ、今度は詩織一人で夕食を作る。 その間シキとウタは何も喋らず、ソファに座ってテレビを見ていた。
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