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自分の意思の勝手さに呆れながら、僕は彼女をチラリと盗み見る。不安そうに腕に抱く辛そうな様子のネコに必死に呼びかけている。
……そんなもの見せられたら、尚更逃げ出すわけにもいかなくなった。
彼女を横目にやるべきことリストにネコと言う項目を加えて考える。
「とりあえず……普通は病院に連れていかなきゃならないよな」
「病院……ですか?」
相変わらず不安そうな目で見てくる少女に、僕は頷き返す。
だけど、この辺りに動物病院なんかあったかな。それどころか耳鼻科も眼科もこの辺りでは聞かないし。
「この辺りに動物病院とかあるかどうか知ってる? 他にはペットショップとか。妥協して猫好きの婦人が住む家でもいいけど」
「えっと……すみません」
「あぁ……そっか」
申し訳なさそうに肩を小さくする彼女。あぁ、最後の望みまで潰えたか。
……まぁ、だったら。やむを得ないよな。
「その、ここから僕の家が近いんだ」
「家……ですか?」
「うん。家って一応無駄に色々物があるからさ。超簡単にだけどそのネコに処置もできると思うんだけど」
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