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少し歩いて到着した。因みに僕の家は、別段一般市民と変わらない、ごく普通の二階建ての一軒家だ。
ただそれでもやっぱり一人で住むにはちとでかすぎだった。掃除の時なんかかなりの労働になったりしている。
……まぁどうでもいいけど。門を開けて玄関でドアに鍵をぶちこみ、開く。
「まぁ、入って」
「お、お邪魔します」
オドオドとネコを抱き締めたまま彼女が玄関に入りドアを閉める。別に取って食うつもりなんかないからそんなに怯えなくてもいいのにな。
「はい、タオル。それでネコも拭いてあげるといいよ。あ、傷口は強く擦らないように」
「は、はいっ」
玄関に常備してあるタオルを彼女に渡し、僕は一足先に家へと上がり込み、リビングに走る。風呂を沸かすためだ。
リビングにある操作パネルでオール機械任せに風呂を沸かす。ここは、僕が真っ先に風呂に入りたい所だが……まぁそう言うわけにもいかないか。
二階に上がり、自室のクローゼットからTシャツとジーンズを引っ張り出して一階の洗面所へ。そこでグショグショに化した制服を洗濯機へと投入して着替える。そしてスイッチオン、をする前に玄関へと戻った。
そこには、自分の体はさっさと拭いてしまったのか、宝石でも磨くかのようにネコを丁寧にタオルで拭く彼女がいた。
「あの、すぐに風呂が入るからさ。先に入ってきなよ」
風呂と言うワードにピタッと彼女のネコを拭く手が止まった。
「えっ……お風呂ですか?」
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