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美晴は立ち上がり、『美憂部屋』から出ると、茶の間にいる両親に、訴えかけるような視線を送った。
寝ころんだままの父が言う。
「全部聞こえてたんだけど。カーペットの毛は毎日取れよ」
テレビを見ていた母が言う。
「お金はあんたが出すんでしょ? 預かると言うより、最期まで面倒みる覚悟があるならいいよ」
反対意見はなかった。
「いやぁ……これで景も安心だわ」
ホッとする妹の横で、美晴は不安を悟られないように、『美憂部屋』へ入った。美憂はまた甲高い声で鳴く。
美憂に愛情を注げるのかな。
自分で貰った訳ではない。
自分で考えてつけた名前じゃない。
自ら預かると言い出したとは言え、美晴は正直、今の時点で美憂に対し、何の感情も持てずにいた。
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