2,晴れて愛猫に

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 約2ヶ月が経ち、10月になった。『美憂部屋』から見える外の景色も、すっかり秋の色である。 「なあぁぁぁ」  生後半年の美憂。体重も少しずつ増え、成猫に近づきつつある。  美月と景が帰ってからの美晴は、悪戦苦闘の連続だった。  美憂の爪を切ろうとしては手を噛まれ、頭や身体を撫でていれば突然手や指を噛まれ、猫じゃらしで遊んでいるとひっかかれる……という具合に、生傷の絶えない毎日の美晴。  加えて、美憂は基本的に言うことを聞かない。猫は人の言うことを、必ずしも聞く訳ではないのだが、初めて猫を飼う美晴はそれをわからずにいた。  なんで言うこと聞かないの?  なんで私ばっかり噛むの?  何がそんなに嫌なの?  ストレスが溜まりに溜まった美晴はある日、思わず大声で美憂に当たり散らしてしまう。 「なんで血ぃ出るまで噛むの! そんなに保健所連れていかれたいの!?」  最低な暴言を吐いた。この言葉に、母親は大激怒する。 「あんた! 保健所行ったら美憂がどうなるかわかってんの!? 殺されるんだよ! 例え冗談でも、そんな事口にするんじゃない!!」
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