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【なぁ知ってっか?魔王の奴、人間に召喚されたらしいな!】
あはは、いい気味だ!
と付け足して、心底楽しそうな声が笑った。
次いでバサリと翼が羽ばたく音が響く。
天井に大きく開いた穴から射した光が、ちょうど真下にある大理石のような岩で出来た広間を照らしている。
その奥の、少し周りよりも高くなった所に、巨大な黒い塊がうずくまっていた。
狼のような頭の後頭部付近から生えた金に輝く角。
すらりと伸びる首に、しなやかな身体と長い尾。
一対の鳥と言うよりは蝙蝠に近い大きな翼。
光をはじき、鈍い輝きを放つ黒く硬い装甲が全身を鎧っている。
この世のどの動物よりもなお、美しさと威厳を持つ者
……ドラゴン
巨大な黒竜は、ふらりと尾を遊ばせて、一段低い場所で控える白いドラゴンの方を見た。
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