第二話・河川敷軍団対抗戦

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風が冷たい。 対岸から風が吹いたからでも、熱で体が熱いからでもない。 ルリは紛れも無く、目の前にいる灰色のオスにその冷たさを感じていた。 「グリ、あいつを知ってるか?」 「いいえ……見た事も無いですぅ」 グリが見たことも無いというオス猫。 それがグリを狙っている。 その不気味さがルリ達に更なる寒気を与えていた。 「アンタ、何者だ?」 「戦場で死に逝く兵に名は要らぬと考える者、とだけ申しておこう」 そう返す灰色。 ルリは眉間にシワを寄せながら一気に駆け出した。 「なんだか知らねえが!」 身構える灰色に向かって一直線に走るルリ。 右からきた灰色の猫パンチを跳んで避け、後ろに回り込む。 「JI・DA・I・GE・KIの見過ぎだぜ!」 「おおっと! 待ちな」 噛みついて勝負を決めようとしたルリの動きが止まる。 声のした方を見ると、白と黒の毛を持つ初老のネコが、グリの首の裏を咥えていた。
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