第三章・その男ランペルティザー

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「やっと戻ってきたな、グリ……」 涙を流して気絶しているグリの顔を舐めて、ランペルティザーが呟く。 舐められたグリはぴくんと体を震わせたが、また寝息を立て始めた。 「本当に感謝していますよ、福磨呂大先生。 それに蒼鉄にも……」 二匹の方に向き直るランペルティザー。 「さてさて。 じゃあ報酬も貰ったし、俺っちは退散させていただきますかねぇ」 福磨呂はマタタビを口に咥えて公園を出て行く。 しかし灰色のネコ、蒼鉄はその場を動かなかった。 「どうした、蒼鉄」 「小生の目的はあの黒猫ただ一匹。 先程は作戦に従い見逃したまで」 「ほぉ。 どうやらお前とあのメス猫の間にも何かしらの因縁があるようだな」 闘争心を剥き出しにしている蒼鉄を見て、ランペルティザーは笑みを浮かべて言う。 「だがあのメス猫は私自ら手を下す。 部外者はご退場願おう」
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