第三章・その男ランペルティザー

4/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
縄張りに入ってきた猫を伸す日々。 そんなある日、ボコボコにした三匹の猫の影に弱った子猫を見つける。 それがグリであった。 最初は警戒して食事もとらなかったが、何度も接していく内に心を開き、餓死という最悪の事態は免れた。 そして数日後、すっかり元気になったグリをルリは送り届けた。 保護者代わりのヒマラヤンに受け渡し、感謝の言葉を受けながら帰る。 しかしグリはそれ以来ルリに懐き、毎日会いに来るようになった。 (そういえば……) グリを毎日送り届けるようになってから、ヒマラヤンが自分に対して好意的では無くなってきた気がする。 口には出していなかったが、雰囲気と顔でそれが分かった。 「皇左衛門、グリ誘拐の首謀者はどんなヤツだった?」 「えっと……、グリ嬢に心酔してる感じでした。 オス猫で種類は確か…………ヒラヤマ……だっけか……?」 「ヒマラヤン?」 「そう、それ!」 これで全貌が見えた。 あの保護者代わりのヒマラヤンはグリに惚れている。 そして、グリに慕われている自分に嫉妬の念を抱いている。 連れ戻して何をするのか…………、恐らく閉じ込める等をして行動を制限するだろう。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!