第三章・その男ランペルティザー

5/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
公園に着いた。 ルリは物陰に隠れ、皇左衛門に様子を見るように促す。 「これは……!?」 「どうした?」 「首謀者のヒラヤマと手下の灰ネコが争ってます……!」 「ヒマラヤンだ馬鹿」 修正しながらルリも顔を覗かせる。 「派手にやってんな……」 広場のど真ん中で取っ組み合いをしている二匹のネコ。 一方はやはりグリの保護者代わり。 そしてもう一匹は河原で見た灰色のネコ。 「なんだか知らねぇがチャンスだね」 ルリはグリがいる場所を探す。 (いた!) 幸運にもすぐ近くの野外テーブルの上で眠っている。 ルリは急いでグリの首を咥えて、また物陰に隠れた。 「おいコラ、起きろ」 「むぅ……あれ? おねえたま?」 グリが目を覚ましたのを確認し、ルリはまた物陰から二匹を見る。 「グリ、そこのバッタと一緒に河原に逃げろ」 「へ!? ……あれはおにいしゃま! 何がどうなってるんでしゅか!?」 「まあ、あれだ。 寂しがり屋の兄貴に交渉してくる」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!