第三章・その男ランペルティザー

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「ふふふっ……よろしい。 大変結構」 そう笑いながらランペルティザーは続ける。 「本音を言うとな、大嫌いなんだよ。 お前みたいに愛だの自由だの妄言を吐いて元ある幸せをぶち壊すヤツらが」 急に真剣な表情になり、前傾姿勢をとるランペルティザーを警戒し、ルリいつでも動ける体勢をとる。 そして、叫びながらランペルティザーは飛びかかった。 「グリは貴様を伸した後に探し出すから、安心しろッ!?」 「ちっ!」 ルリは驚愕した。 さっき全力で争って体力は無いに等しいはず。 しかし、目の前のオス猫はそうとは思えない程に豪快に攻めてくる。 ルリは避けるだけで精一杯だった。 「この……ゲスが!」 「がっ……!」 反撃に顎に頭突きを食らわせる。 やはり効いたらしくランペルティザーはよろめき、地面に倒れ込んだ。 「このアマ……!」 「チェックメイト、将棋で言うなら詰み、慣用句で言うなら八方塞がり。 どう? 気分は」 「グリはどこだ……グリは……」 うわごとの様に呟くランペルティザーを見てルリは、グリがランペルティザーにとってどれだけ大事な存在か理解した。 「本当にあんた馬鹿だよ」 「グリ……戻って来い……グリ……」 「口に出して引き止めりゃ、こんな面倒事にならなかっただろうに」 気絶したランペルティザーに背を向けて、ルリは蒼鉄の方に歩み寄った。
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