~第一章~

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「しかし、あの笹瀬川がオーケーするなんてな…」 真人が感慨深げに言う。 「正直僕もちょっとびっくりしたよ。どうにも素直じゃないけどね…」 「なっ……笹瀬川佐々美もやるのかっ?」 鈴が突然立ち上がる。ちなみに、笹瀬川さんの名前はもう噛まずにしっかり言えるようになっている。 「じゃーあたしはお断りだ!」 「おいおい」 と恭介。 「野球で完敗してるからって、そんな嫌うこともないだろう」 「う……うっさい、馬鹿兄貴!」 「まぁ笹瀬川さんのはソフトボールだけどね」 それでもやっぱり、練習をすれば笹瀬川さんがたまにいるとき、鈴は鬼のような指導を受けていた(大抵は逃げては来ヶ谷さんに捕まって、口論になれば僕が仲裁の繰り返しだった)。 「ま、完敗なのは確かだよな。未だ鈴はボールが多いけどよ、笹瀬川の球はこう、コーナーの隅を突く投球をするよな」 「ストライクゾーンは一つだよ真人…」 「あ?俺なんかヘンなこと言ったか?」 「いやまぁ、いいんだけどさ…」
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