9月

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  長太郎はカウンターに近い席に座った。 あの人はどうやら“宍戸”さんというらしい。 エプロンにネームプレートが付いていたのだ。 コーヒーを1口飲んでブルーベリータルトを口に運ぶ。 「!…美味しい!」 美味しさのあまり言葉が出てしまった。 「ありがとうございます。」 宍戸さんは笑った。 その笑顔は強気そうな印象を変える程穏やかなものだった。 「いえ、でも本当に美味しいです。」 「そう言って貰えると作ったかいがあります。」 「えっ!これ手作りなんですか?」 「はい。私パティシエなんですよ。」 「凄いですね!」 「いえいえ。」 そこで話は区切れた。 長太郎は完食すると、トレイを宍戸に返した。 「ごちそうさまでした、とても美味しかったです。」 「また来てくださいね。」 「はいっ!」 返事をして、長太郎は帰った。  
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