人間になろう

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一週間のうちどれだけの時間 体にムチ打って働いたのだろう 電車に揺られながら 行きに気合い入れても 帰りはグッタリの毎日 立ち仕事でおんなじ言葉の繰り返し 「いらっしゃいませ」 「ありがとうございました」 「縦一列でお並び下さい」 時間が経つ毎に 絡まっていた糸が ピンと張ってきて 誰かがハサミを入れそうになった 何度言い続けた事か…… いつもジコチューのおばちゃん達と 酔っ払いが相手 子どももいるけどね 相手はお客 大切なお客様だ けれどいくらお客といえども はらわた煮え繰り返る直前の時も 「イラッシャイマセ」 「アリガトウゴザイマシタ」 「タテイチレツデ……」   プチッ ブチブチッ 「あたしはあんたの精神安定剤じゃない!!」 「日本人なんだから日本語わかるだろ!?」 「言う事聞けよっ!!」 ダメだ 口にできない わかっているから…… でも一つ言えるのはロボットじゃない 感情だってちゃんと持ち合わせている ロボットなんかじゃあないんだ 「人間になりたいんだよ」
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