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教室のガスは数分で止まり、臭いもすぐに治まった。
これを毒ガスと言った人は、一体何を根拠にそう思ったのだろうか。
そして、悲鳴が聞こえたかと思えば無音になった廊下が気になり、佳奈は扉を開けた。何故か、押さえられていた筈の扉は簡単に開いた。
その瞬間、廊下の様子が目に入った。
「…どうなってんの……」
佳奈は呆然とそう呟いた。
それに釣られ、仁美と隼人も廊下に出た。
「え!?何!?」
仁美も、今回は普通に混乱していた。
「死んでいる」
隼人は冷静に倒れている人の首筋に触れて言った。
「何で!?」
「知らない」
佳奈の問いに隼人が答えられる訳がない。ずっと一緒にいたのだから。
「お、お前ら、生きてたのか!?」
その時、賢が戻って来た。
「あー!!閉じ込めたでしょ!!」
賢の姿を見るなり、佳奈は文句を言った。扉越しに聞こえた声は賢だったのだ。
「何でだよ!!毒ガスだろ!?」
「いや、あれは違う」
「はぁ!?じゃあ、中にいた方が良かったのかよ……」
隼人の言葉に、賢は落胆した。
「何があったの…?」
その佳奈の問いに、賢は先ほどの一部始終を伝えた。
あの、普通ではない恐怖の出来事を……
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