第七話

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─*─ とんとんとんとん。そんなリズミカルな音がキッチンに響いている。 断っておくが、これは別に鈴本が急成長した訳では無い。俺が切ってるんだ。 「い、いいよ?私がやるよ?」 申し訳無さそうにそう言うけれど 「いや、今日はいいよ。俺が作ってやるから」 俺はそれを丁重にお断りした。 別に俺は鈴本を責めたりしない。コイツはホントに良く頑張った。ただこれ以上やったら、鈴本が死んでしまうような気がしてならなかった。 「手当てしなさい」 もう鈴本の手はズタボロなのだ。もうホントに見てられない程に。 「………うん、ありがと」 そう微笑んで、半ば不意討ちに感謝してきた鈴本にドキッとしてしまったことで、俺の手元が若干狂ってしまった。 「あ、な、中原君!?」 「…………なに?」 「て、手っ、手ぇ大丈夫!?」 そうだな。包丁が俺の右手に切り込み入れてる所から……赤い液体がドロドロドロドロと……。 「よ、ゆゆーだし」 『余裕』って言いたかったんだけど、動揺とか痛みとか、もうワケわかんなくて噛んでしまった。 皆が恐れる『氷王子』はどこへ消えたのか?それは一番俺が聞きたいことであった。
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