序章

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遠くで、カラスが鳴きながら寝床へと帰っていく。季節は秋、赤く輝く夕陽を遮るようにアキアカネが空を縦横無尽に飛び回っている。まるで飛ぶことで生きている事を証明しているように… そんな夕陽の綺麗な河原に、一人の男が周囲を伺いながら木の陰へと歩いていく。手にはダンボールとおぼしき荷物を抱えている。 「済まない、許してくれ」 男は荷物を木の陰にひっそりと置くと、また周りを気にしながらその場を去っていった。夕陽の中に一つの荷物を残して…
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