王子の猫

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「あたしの部屋、今一人なんだ。もし良かったらなんだけど……」 「全然いいけど、大丈夫? 春日さんの迷惑にならない?」 「大丈夫、あたし猫好きだから」 「それじゃあ、お願いしようかな」 太陽の光が後光のように雅也くんの笑顔を照らす。 本当は動物自体そんなに好きではないが、大好きな雅也くんとお近づきになるためだ。 「一週間で両親戻ってくるから。一週間分の食事とかトイレは用意してあるよ」 「うんわかった」 雅也くんの腕からあたしの腕へと移らされた猫は、尻尾を揺らしながらジッと結城くんを見つめる。 「あ、そういえばこの子の名前なんて言うの?」 「マリス・ヨハネ・ラマ」 「え? まり……」 「マリス・ヨハネ・ラマ」 どこの国の人だ。 いや、猫か。 「へー……、可愛い名前だね」 これ以上何か言うとボロが出そうだった。
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