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「夏物の服とか水着とかを実家から持って来たんです」
「あらそう。そういえば春日さんお家が近いものね。もうすぐ夕食だから早めに食堂のほうに来て下さいね」
「はーい」
逃げるように早足で階段を上がる。
猫を気遣う余裕もなくなっていた。
部屋へ駆け込むとようやく安心して息を吐く。
「はぁー……。あっ、猫!」
慌てて床に置いた通学バックを開ける。
猫は文句を言いながらゆっくりと通学バックから出てきた。
鳴きながら、ではなく言いながらだ。
「もう、こんな狭い中に閉じ込められるなんて最悪だわ……」
猫は乱れた毛並みを正すように前足で顔を撫でる。
あまりに奇妙なことに頭の回転が追いつかず、猫を見つめる。
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