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不意に猫があたしの方へ向き、鼻で笑って言った。
「間抜けな顔」
「え……、えぇー!」
猫を指差し、言葉にならない声で叫ぶ。
「うるさいわねぇ……」
「あんた、なんでしゃべってんの?」
「あなた私の言葉がわかるの?」
尻尾を一度揺らし、金色の瞳であたしを見る。
あたしはゆっくりと首を縦に振った。
「あなた……」
猫の大きな瞳がさらに大きく見開かれる。
あたしは少し息を飲んだ。
「頭がおかしいんじゃない」
「なにそれ!」
「人間が猫の言葉を理解出来るわけないじゃない」
「あんたがしゃべれるわけじゃないの?」
「猫は普通話さないでしょ。あなた一度病院行ったほうがいいわ」
哀れむよう目であたしを見つめ、そっとため息を吐く。
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