同居の始まり

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その態度に若干腹が立ったが、今はそれどころじゃない。 「あたし猫の言葉がわかるのかな」 「そんなの知らないわよ」 「てゆーか、あんたメスだったんだね」 「えぇ」 「そういえば家の近所で飼われてるタマの言葉は分からなかったなー。ねえ、やっぱりあんたが人間の言葉話せるんじゃない?」 「そんなわけないでしょ。それに私は“あんた”じゃなくて、マリス・ヨハネ・ラマって名前があるの」 「あんたその名前恥ずかしくないの?」 「だから、あんたじゃないって言ってるでしょう」 床に座って前のめりになっていたあたしの腕に爪を立てる。 「痛ー!」 幸い爪は丸くカットされており、血が出ることはなかった。
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