同居の始まり

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引っかかれた腕を押さえ、マリスなんとかを睨む。 「だいたいこの名前は雅也がつけてくれたのよ。恥ずかしいわけないでしょ」 「へー……、雅也くんが」 そう言われると凄く良い名前な気がしてきた。 「ちょっと、雅也のこと名前で呼ばないでくれる。雅也は私の主人よ」 「いいじゃんマリス、仲良くしようよ」 ここでこいつと仲良くなれば、雅也くんとの接点も増えてくる。 「嫌よ。とりあえずお水ちょうだい、喉乾いちゃった」 しゃべれても猫に水が汲めるわけない。 あたしは預かったカバンから、陶器製の真っ白い皿を出す。 皿にはマリスなんとかと筆記体で書かれていた。 猫用なのになぜ陶器製、と思いながら蛇口を捻る。
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