同居の始まり

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ある程度水が溜まったら水を止め、皿を置いた。 「さあ、どーぞ」 ご機嫌取りに、愛想笑いを浮かべてマリスの足元に水を置く。 「水道水なんて嫌よ。お腹壊しちゃうわ、ミネラルウォーターにして」 そっぽ向いて偉そうにそう言った。 猫のくせになんてやつだ。 「あんた猫でしょ。水じゃ腹壊さないって、多分大丈夫」 「私はあなたと違ってデリケートなの」 窓から放り投げてやりたい衝動を押さえ、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。 ミネラルウォーターを置いた途端、そっぽを向いていた顔はようやく正面を向いた。
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