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夕暮れ時になっても日は沈んでおらず、太陽はギラギラと素肌を照りつける。
そんな真夏の中を一人走るあたし。
「マーヨーラー!」
雅也くんのメールアドレスをゲットして、ルンルン気分で帰ってみるとマヨラが脱走していた。
寮監に見つかって追い出されたのかとも思ったが、寮監室を覗くと寮監の松子は仕事をしていたので、その線はおそらくないだろう。
校舎や学校の敷地内はくまなく探した。
こうなったら学校の外だ。
そう思い、あたしは栄鹿高校を飛び出し、坂道を猛烈なスピードで走っていた。
栄鹿高校は団地の頂点に建っており、団地を抜けるまではずっと傾斜だ。
傾斜を下りながら「マヨラ」と呼んでみるが、道行く人の注目を集めるだけで、猫の一匹も見当たらない。
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