王子の猫

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夏休み初日。 教室の真ん中では騒がしい男子。 隅ではイチャつくカップル。 今の学生は終業式があったから休み。というわけでなく、夏休みでも当たり前のように補習がある。 夏休み前と変わらない昼休憩。 あたしは机に広げられたお菓子をつまみながら、友達と雑談していた。 「春日さん」 「ん?」 ポッキーをくわえたまま振り返ると、雅也くんが立っていた。 「今日厚生委員の当番だから」 「あ、うん」 「俺ちょっと遅れるかもしれないから、先に行ってて」 「わかった」 雅也くんは申し訳なさそうに微笑むと、友達のところに行ってしまった。
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