王子の猫

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「いいなぁ美咲、結城くんと同じ委員会なんて……、こんなことなら厚生委員立候補すればよかった」 「じゃんけんに負け続けた美咲が良い思いするなんて……」 一学期の始め、20人近くいる女子全員にじゃんけんで負けて、あたしはゴミ処理班と言われる厚生委員を押しつけられた。 しかしそのじゃんけん大会の後、男子の厚生委員に立候補したのは雅也くんだった。 結城雅也くん。 目鼻立ちの整った顔。 細い輪郭。 風が吹くたび色素の薄いストレートの髪がサラサラとなびく。 175センチの程よい身長に、やわらかな物腰。 まさに栄鹿の王子様。 心の中では勝手に名前で呼んだりしているが、まだクラスメートというポジションだ。 平凡なあたしとはまったく釣り合わない王子様。
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