王子の猫

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夏休みだからゴミの量も少なく、一人で委員の作業を終えてしまった。 「暑い、雅……結城くん遅いなぁ」 立っているのも辛くなり、座り込もうとした瞬間雅也くんの声が聞こえた。 「遅くなってごめんっ……。もしかして、終わっちゃった?」 「うん、でも仕事少なかったから大丈夫」 紅潮した頬。 乱れた息。 額を伝う汗。 雅也くんの色気に思わず見入ってしまう。 だがこれでは変態のおっさんと同じだと思い直し、軽く頭を振る。 そして再度雅也くんに向き直ると、今度はその腕に抱えられているものに見入る。 「猫……?」 「あ……、うん。俺んちの猫」 真っ白で艶のある毛に、金色の瞳。 長い尻尾はゆらゆらと揺れている。
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