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世界の終焉を一年後に控えた世界。
小さな国から亡くなっていき、10年前にはジ・ハードもなくなった。
昔の人々が思い描いた様な機械の国にはならず、宇宙進出なんて実現しなかった。
そんな世界を拝見に立った僕。
何とも無しに進んだレール。
終わりはすでに見えていた。
だから、みんなツマらなかったしどうでもよかった。
地球は一年後になくなります――
カウントダウンが始まったのはいまからちょうど50年前だそうだ。
その頃はまだ母も父も生まれてなくて、祖母と祖父がラヴ・ロマンス真っ最中のことだったらしい。
『地球は近いうちに消滅する』と言うのはマスメディアなどで噂されてたが、まさか自分達が生きている時代に起こるとは世界中のだれもが思っていなかった、といって「あの時は……」と話してくれる祖父母は未だに健在している。勿論僕を産んだ母も父も。
そんな家族から離れて、僕は今新しい職場に向かっていた。
古びたドアを開けたら続いていた階段をちょうど降りきった。
目の前には鈍く光る銀の扉。
頭上には頼りなく光る蛍光灯。
蜘蛛の巣がかかったその場所は居心地がいいとはお世辞にもいえない。
目の前のドアを見据え、僕は一つ深呼吸をしてノブを引いた。
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