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『どうすれば良いのかを知ったのは賢者が亡くなったことがきっかけでした。
賢者が亡くなり少しずつ綻びが出てきたからです。
主を無くした大蛇は力をなくし
川や森からの災害が国を襲うようになり
空にかけられた魔法はおかしな周期で夜を呼び起こし
私は糸がほどけ始めた。
この時、私には二つ選択肢があった。
一つはこの綻びがひどくなり自然と国が消えるのを待つか
私が王国から出て国が跡形もなく消えるか
…苦渋の選択でしたが
私はこの綻びを直す方法として選んだのは自分が消えることでした。
……何故だかわかる?』
長い話の間
僕は黙ってルナの目を見つめ聞いていた
だからルナの急な説明にもすぐに答えた
"ルノアールの存在を教えるため"
するとルナは顔を崩し悲しそうに笑いながら頷いた
『エゴだよ。
私は誰かに知らせたかった。
その結果があのがれきの山と
その下に埋まった数ある死体。
そして朽ちるのを待つわたしの体だけだ。
ムーン、あきれるかい?嫌悪するかい?
ならば僕を罵倒していいよ。
僕は自分のために人を殺し、賢者の意志も殺した』
ルナはそういうと静かに顔を伏せ
小さな水の滴をぽつりと床に落とした
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