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「いーやーだぁああ」 「そんな大きな声を出すな。道場の中だぞ」 「んなっ」 そんなの関係ないっ!! ジタバタと手足を動かしても熊さんにはほんの効かないらしく、俺はそのまま武道館の畳の上に放り投げられた。 授業の柔道も真面目に受けていなかった俺だから当然受身も取れなくて、俺は畳の上に打ち付けられて蛙のような姿になった。 「ぶ、部長~。何やってるんですかぁ!!キミ、大丈夫?」 「だ、大丈夫ぅ?」 気の抜けた声がダブって聞こえて、俺はヨロヨロと顔を上げた。 マシュマロにゴマを散らしたような顔が・・二つ。 二つ?? 思わず首を傾げると、マシュマロはふんわり笑った。 「僕たち」 「双子なんだ」 「僕は佐藤光一」 「僕は佐藤陽一」 コウイチとヨウイチ。 もうどっちがどっちか分からないし、こいつらの喋り方なんか分かりづらいんだけど・・。
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