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Ⅱ
「信也の奴、むかつく事ばっかり言いやがって」
頭上に星をちらつかせる信也を教室に残し、俺は武道館に向かった。
日向は小学校のころから家の近くの剣道場に通っていて、高校でも迷わず剣道部に入部した。
俺はというと、無趣味だし、部活なんてめんどくさいしで迷わず帰宅部だ。
そんな俺が武道館に向かうのは・・・
一緒に帰ろう?
と日向が言うから。
なんだか、部活が終わるの待って一緒に帰るなんてまるでこ・・恋人みたいだ。なんて、誘われるたび嬉しくなるのは内緒。
外の窓から武道館の中をのぞく。
あ、いた・・。
防具や面をつけててもすぐ分かる。
すらりとした長身に(羨ましい)、背中に物差しでも入れたみたいにしゃんと伸びた背筋。
うん…やっぱかっこいいよなぁ。
見慣れている日向の姿なのに、ついつい見とれてしまった。
だから俺は後ろからそっと近付く影に気がつかなかったんだ。
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