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「どうしたんだよいきなり……って、わぁ……」
“それ”の土色の毛とわたしの体は、上から降ってきた白い水でべっちゃべちゃになる。
でもわたしはそんなことよりも、しっぽをピンと立てて“それ”に一生懸命頭をこすり付けるのでもう精一杯だった。
「ったく……お前、臆病な奴なんだな」
“それ”は笑い声みたいな鳴き声を上げて、わたしの頭を撫でてくれた。
(あ……)
“それ”の手みたいなのからは、お母さんみたいな甘いにおいとおひさまのにおいがして、何だかすごいほっとした。
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