スコールの後に

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降ったり止んだりを繰り返しながら二週間程続いた雨も収まり、空は落ち着きを取り戻していた。 快晴である。 暑い日差しを遮る雲は無く 何一つ濁りの無い空の蒼さに目眩みすら覚える程であった。 そして落ち着き払った水面は、待ち焦がれたもう一つの青を全身で受け止めるかの様に穏やかな表情のまま波一つ立てる事も無く空と向き合っていた。 真上と真下に最高のブルーを携えたまま私は、暫く振りの日差しを味わってみた。 「まさしく最高だな」 心に浮かんだままの言葉を表に出していた。 空気が美味かったのだ 閉じ込められた空間の中に収まりながら、常に叩き付ける音に囲まれ過ごし吸う空気とは明らかな違いがあった。 穏やかな開放感に少しの間酔いしれた。
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