切なさの行方

１ 疑惑の声

　　
　毎週必ず一度はデートをしていた。そして日に何度かの電話やメールも欠かさずに。
　半月も逢わない事なんてなかったし、メールに至っては、返事が返って来ない。
　頭をよぎるのは、浮気か考えたくもない別れ。
　いや、別れはないはずだ。
　半月前、デートの帰り際にちゃんと愛の言葉を聞いている。
｢何があってもお前を離さない｣
　そう抱き寄せて、耳元で囁いてくれたのだ。
　では、一時の浮気なんだろうか……。

――絶対何か隠してる。

　確信は出来ないし、疑いたくはない。
　だけど、純の脳裏を支配しているのは、最もされたくない裏切りの行為。
　昨日も純の方から電話を架けたが、繋がった瞬間に｢ごめん。今は話せない｣と、直ぐに切られてしまった。